SDH/SVSに関する教育・研究・普及活動を行う、若手・中堅総合医やともに働く様々な専門職のチームです!

2019年11月13日水曜日

J−HPH報告② シンポジウム「公正な医療を向上させるための取り組み」

基調講演の後は公正な医療の質を向上させる取り組み」という題名のシンポジウムでした。


まずは公平性の可視化について。医療の質には「時間、効率、効果、安全、公正、患者中心」という6側面があり、それぞれの側面の概要を説明していただきました。今回のテーマである公平性は「性別、民族、地域、SESなどの個人の特性に左右される事のない良質なケアを提供すること」ですが、公正性と攻利性は常にトレードオフの関係にあるのが難点です。





また、質を管理するモデルとしてドナベディアンモデルというものがあり、「誰の」「何を」「どのような状況で」「どのように」「何をしたら」「どうなったか」「更にどうなったか」というロジックに当てはめるという事、また質を評価する為のindicatorを設定し可視化すること、アウトカムの評価は指標の善し悪しだけでなく回避すべき不慮の転帰とも言うべき項目がある事をおしえていただきました。公平性を測定するためのロジックモデルを構築しPDCAを回して行きましょう!という内容のものでした。


後半では千鳥橋病院での実際の取り組みを紹介戴きました。入院時の基本情報でSDHを評価する項目を設け、該当者はMSWによる面接を受けてもらい経済状況を問診し、社会資源を処方するという取り組みを紹介戴きました。QIの一つであるHbA1cとSDHの指標である年齢や生活保護受給の有無の関係を調べると、60歳未満において生活保護受給者の方が血糖コントロール状況が悪いという事実が見えて来ました。これを元にPDCAサイクルで改善に繋げる努力を使用としている、というものでした。