SDH/SVSに関する教育・研究・普及活動を行う、若手・中堅総合医やともに働く様々な専門職のチームです!

2019年11月14日木曜日

J-HPH報告③ 特別講演「国際協力とヘルスプロモーション」

2日目の特別講演は順天堂大学の湯浅資之先生でした。
仏陀の教えもSDHも原因と結果があるという「因果律」の考え方から始まり、ヘルスプロモーションとの出会いで視野が広げられたそうです。
 

こういった視線で戦後の日本を見ると、1945年〜1963年ごろに死亡立、GDP、平均寿命が格段に改善しているのですがこれを説明する論文がない事に気付いたのだそうです。調べて行くと、当時のヘルスプロモーションとして地域保健師活動以外に、「生活改善普及運動」(通称『生改さん』)という活動があった事に注目したのでした。
 






実はこの「生活改善運動」をモデルにしたSDHへの介入方法が見直され、JICAを通して国際保健の分野でヘルスプロモーション活動が実践されているのだそうです!!
湯浅先生が国際保健活動で従事された東北ブラジルの例が紹介されました。多くの苦労を超え結果を残した経験から「SDHへの介入が重要であり住民自身がパターナリズムを協調運動によって乗り越える必要がある」と述べられておりました。
更にはボリビアでもFORSAプロジェクトという健康向上プロジェクトを行い、更にはRCTを実施し有効性を評価・検証されたという事でした。


 
湯浅先生曰く、世の中の全ての物事は金融資本、物的資本、天然資本、人的資本、社会関係資本の5つに分類されるのだそうです。前3者は使うほど枯渇しますが後2者は使うほど育まれて行く。ヘルスプロモーションによる介入とはこの2つを増やす活動なのだ、と主張しています。(時間の関係で講義はここで終了してしまいましたが資料は続きます。)
 
さて、そうした経験をすると日本が本当に気になる。GDP、貿易、大学ランキング、ジニ係数国民幸福度どれをとっても日本は衰退の一途をたどっているのにそれを実感出来ない「昭和の感覚」に陥ってはいないでしょうか。
 
超高齢化社会の先人を切って行く日本はアジア諸国と共に持続可能な高齢社会を目指して協働せねばならないと考えています。
①持続可能な健康長寿社会を実現する成果物を開発し検証して世界へ発信する
②住民の誰もが幸せを感じ安心して暮らせる社会を想像する
③産官学住金国連携により持続可能性、イノベーション、国際連携を追究する

「NCD ・高齢化・地球温暖化を乗り切れる持続可能な社会の達成に進む事が重要だ」
という結びの言葉で終わります。


 以上です。非常に心惹かれ励まされる内容でした!