SDH/SVSに関する教育・研究・普及活動を行う、若手・中堅総合医やともに働く様々な専門職のチームです!

2019年11月13日水曜日

J-HPH報告① 基調講演「公正な医療の質」ジョジュア=デッパー氏

●基調講演はカナダのジョジュア=デッパー医師の「公正な医療の質」でした。カナダは広大な国土と先住民の問題があり、医療の公平性には課題があるのだそうです。(先生自身が犬雪車に乗って往診?した事もあったそうです!?)
●カナダも必ずしも医療が公正に受けられるという訳ではなく、精神疾患を持ったホームレスの子供が市街地の中心で昼間にも関わらず凍死したという出来事もあったそうです。しかしこういった国の「恥ずべき部分」をしっかり認識し不公正を改める委員会が5年前に設立し、改革に動き出しているとのことでした。本当に素晴らしいです。
●また、医療の質と公平性に関して
 ①データがないから何もできないのではなくデータは探せば必ずある
 ②予算がないのではなく予算配分が不適切
 ③方法論がわからないのではなく質改善には方法論がある、と訴えておられました。
●また、公平性と質に関する本質として、
 ①答えは医療の外で見つかる(患者自身との協働が重要)
 ②自身の偏見や先入観を排除する
 ③問題は複雑(連携が重要)
 ④我々にも患者にもつらさを伴う と指摘されていました。
●最後に、質と公平性の目指す目標として、提供サービス、アウトカム、コスト,患者への影響等に終始しがちだが、医療提供者の安全担保が軽視される傾向にあるため注意せねばならない、と指摘していました。
●講義のまとめとして「ではあなたは誰に対して何をしてそうやってそれを測定するか、書き込んで下さい。そしてそれを実践して下さい」という個人ワークをして終了しました。熱意と行動力に溢れた非常に素晴らしい講演でした。